北九州宗像中央病院について
リハビリテーション科
≪豆知識≫
リハビリテーション(Rehabilitation)という意味をご存じですか?
現在、リハビリテーションという言葉は世の中に浸透していると思いますが、意味までは理解されていない事が多いと思いますので簡単にご紹介させていただきます。
Reは ❝再び❞ 、Habilitatinは ❝適した状態❞ という意味で、「全人間的復権」、「社会復帰」という意味です。
Ⅰ.各療法の紹介
1.理学療法(PT:physical therapy)
理学療法では、病気や怪我によって日常生活に支障を来した方に対し筋力トレーニング等を行い、立つ、座るといった基本的な動作を練習していきます。 また、必要に応じて階段昇降の練習や屋外歩行練習なども行います。
2.作業療法(OT:occupational therapy) 作業療法では、日常生活動作の中でもトイレや入浴、家事動作といった応用的な動作を主に練習していきます。 また、作業活動を通し認知機能の維持や改善を図ることや、福祉用具の提供などのアドバイスも行っています。
3.言語聴覚療法(ST:speech-language-hearing therapy)
当院での言語聴覚士は、言語聴覚療法と摂食嚥下機能療法の2つを主に行っています。 言語聴覚療法では脳血管疾患を中心とした失語症、構音障害などの言葉を発する機能に関する練習や、高次脳機能障害に対する机上課題などを行っていきます。 摂食嚥下機能療法では、嚥下障害によりご飯が食べにくい方や飲み物が飲みづらい方に対して評価や機能的な練習、食形態のアドバイスなどの支援を行っていきます。
Ⅱ.回復期リハビリテーション
1.回復期リハビリテーション病棟とは?
急性期治療を終えた後の脳血管疾患、大腿骨の骨折などの患者さんに対して身体機能や日常生活動作の向上と社会復帰を目的とし集中的なリハビリテーションを行う病棟です。
2.どういった方が対象になる?
回復期リハビリテーション病棟は入院できる疾患と入院日数の上限が以下のように定められています。
対象疾患 | 入院日数上限 |
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳炎、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後若しくは手術後の状態又は義肢装着訓練を要する状態 | 150日 |
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頚髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷 | 180日 |
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後 | 90日 |
外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後の状態 | 90日 |
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態 | 60日 |
股関節又は膝関節の置換術後の状態 | 90日 |
3.当院回復期リハビリテーション病棟の取り組み
【日常生活動作練習】
訓練室だけでなく、自室内での寝起きの練習や病棟でのトイレや浴室での動作練習なども行います。
入院中から自宅を想定した練習を行い退院に備えます。
【調理練習・外出練習】
退院後に調理や買い物、公共交通機関の利用、屋外歩行といった応用的な動作が必要な方に対し入院中に練習を行います。
【家屋調査】
退院支援のうちの1つで、入院中に自宅環境の調査や、自宅での患者さん本人の動作確認などを行っています。 調査の際には福祉用具の検討や住宅改修の提案なども行っています。
Ⅲ.生活期リハビリテーション
1.生活期リハビリテーションとは?
生活期リハビリテーションとは、病気やけがを受傷した直後の急性期やその後の回復期を経て症状ならびに障害の状態が安定した時期のリハビリテーションを指しています。
2.当院の生活期リハビリテーションの取り組み
【身体機能の維持・改善】
手足の関節が硬くならないよう関節を動かす運動や筋力が落ちないように行う筋力トレーニングといった機能練習、起立や歩行などの運動療法、トイレ動作の練習など日常生活動作の練習も行っていきます。 また、呼吸機能や嚥下機能に関する練習も行っていきます。
【離床機会の拡大】
入院中はベッドで横になっている時間がどうしても多くなるため、リハビリでは離床の機会を増やし、少しでもお元気に過ごして頂けるように努めています。 病状により困難な場合もありますが主治医と相談しながら離床を進めています。
【嚥下内視鏡検査(Videoendoscopic evaluation of swallowing:VE)】
嚥下内視鏡検査とは、内視鏡を鼻から喉へ挿入し、食物の飲み込み(嚥下の様子)を観察する検査です。 この検査結果を踏まえて食形態の変更や食事の際の姿勢の調整などを行い嚥下訓練を計画していきます。 生活期リハビリテーションに限らず回復期リハビリテーション病棟でも行なっています
Ⅳ.訪問リハビリテーション
1.訪問リハビリテーションとは?
訪問リハビリテーションとは、通院が困難な方に対し理学療法士や作業療法士、場合によっては言語聴覚士が直接ご自宅へ訪問し、身体機能の回復や維持、日常生活動作能力の向上や介護者の介護負担軽減などを目的とし行います
2.当院訪問リハビリテーションの取り組み
【日常生活動作練習】
在宅での入浴などの毎日の日常生活の動作を確認し、日常生活がスムーズにできるよう練習やアドバイスを行います。
【屋外練習】
ご自宅周囲での屋外歩行練習を中心に行い活動範囲の拡大を行います。
【ご家族への介助指導】
日常生活動作に介助が必要な利用者さんの場合、ご家族の負担を少しでも軽減できるよう、より良い介助方法などを検討しアドバイスを行います。